謎の無気力の正体は
体が不調だとなんとなく心まで重くなっていくようです。
心が不安定だから体が重く感じるのかもしれませんが、これは鶏と卵どちらが先かという問題と同じで考えても答えはいまいち判然としない。
いずれにせよ、なんとなく身も心も重たいというのはよくあることですし、気だるい日があまりにも続くとそれが常態であると思ってしまいます。
ああ子供の頃はこんなことなかったのになあ、大人になって体が錆付いてしまったかなあ、などと感じながら疲れきった体に鞭打って布団から這い出る日々に感じる憂鬱は底知れません。
この程度ならよくあることだと思いますが、中には鬱症状が重くなってしまったり、 病的と言っても言いすぎではない程に体がだるくなったりしてしょうがないという人もいます。
一体なにが始まりなのかは分からないけれど、どうしても体全体が重くて、いつも頭痛がしているような気がする。もう出来れば人に会いたくないし、うっかり誰かと約束してしまうと土壇場で面倒になって仕方ない。
とにかく異常にだるくて、シャキッとしない。
仕事中もボーっとして、どうしても集中力が続かない。酷い眠気に襲われて、何度もあくびをしてしまい、缶コーヒーなんか飲んで紛らわそうとするけどどうしても眠気が取れない。
なんだか、最近では頭も悪くなってきたような気がする。やる気が出ないからかもしれないけど、うっかりミスが多くなって、物忘れも多くなってるんじゃないだろうか。
現代に生きる人ならこんなことはありがちだし少し疲れてるだけなんじゃないの?と感じたあなた。
「もしかしたら、こんな不調は血糖値が関係しているかもしれないよ」と言えば、どう思うでしょうか。
さらに、これは 大人だけでなく、小学校や中学校に通う子供でさえ、この倦怠感を持っている子がいるといいます。原因のはっきりしない辛い日々、学校に行くのも困難な子です。子供の場合も血糖値が影響している可能性があるのです。
低血糖症に心あたりはありませんか?
どこが悪いという訳ではないけど元気が出ないというとき、もしかしたら低血糖症に陥っているかもしれないと疑ってみてください。
低血糖症とは、血糖値が下がることで引き起こされる症状というよりは、血糖値をコントロールする機能が弱まり、安定した血糖値の維持がうまく出来ない状態を指します。
原因の多くは、糖分やカロリーの摂取過多による、すい臓などの血糖値調節に関わる臓器の疲労ですが、一概にそれだけとも言えません。
また、低血糖症によって表れる症状は無数にあり、ちょっと見ただけでは判断するのは非常に難しいので、全く違う病気と間違って診察されてしまうことがあると言います。
代表的な症状の中でも精神的なものでは、不安に襲われる、落ち込む、無気力になると言ったうつ様の症状が見られることが多く、これがうつ病や統合失調症と診断されてしまうケースが頻繁にあるそうです。
前項で見たようなケースが、もし異常を感じて病院に行けばまさにうつ病と誤診されてしまうようなパターンで、本人もうつ病だと言われれば納得しますが、お薬を飲んで精神をコントロールしたところで改善は見込めません。
この場合は日ごろ非常に無気力で集中力がないということなので、低血糖症の中でも糖に対して無反応な体になってしまっている無反応性低血糖症の可能性があります。つまり、血糖値がずっと上がらない状態です。
糖は体のエネルギーであり、脳のエネルギーですので、これに反応せず血糖値が上がらない(糖をうまく使えない)のですから、元気がなくなっていくのは当然です。結果、異常な倦怠感に襲われ、集中力を欠いた状態で生活しなくてはならず、頭も回らず、日常に支障を来してしまう。
ただでさえストレス社会だと言われています。色々なことが報われないままで生きていれば、はつらつと生きている方が難しいかもしれません。
しかしそんな社会だからこそ、ただの疲労か低血糖症かの見極めをしっかりしなければならないのです。
低血糖症の見極めって?
低血糖症の中でも、無反応性低血糖症は比較的重症と見なされるようで、早急に対処が必要になります。
しかし、体内のエネルギーをうまく使えない状態なのですから早くどうにかしなければならないのに、その状態に慣れてしまっており、 本人が異常だと思っていないことが多いのも問題です。
低血糖症には無自覚性低血糖症と呼ばれている種類もあり、これは低血糖な状態にも関わらずそれに伴うべき症状が表れず、突然意識を失ってしまう恐れがあるものです。
これが一番危険なケースで、昏倒したまま処置が遅れて死んでしまう人もいるといいます。
それに比べれば、まだ倦怠感や不安、集中力の欠如などの症状が自覚できる分、対処は幾分容易なはずです。
問題はあまりにその気だるい状態、集中力がない状態が当たり前になってしまっていて、低血糖を疑いもしない人が多いということです。
いえ、原因が低血糖だとは思いもしないというのが正しいかもしれません。
中でも、無反応性低血糖症は若い人に多いらしく、自分のなかに、本当の覚醒したエネルギーが満たされている状態を知らずにいるということもあるようです。
低血糖症による体の機能の低下が心配なのは言うまでもありませんが、自分の本当の力を使えていないということも大変重要な問題です。もしかしたら血糖値をコントロールすることで、大袈裟ではなく、人生が変わるような経験をするかもしれません。
無反応性低血糖症は、他の低血糖症(血糖が上がったあと急激に下がってしまう反応性低血糖など)とは違い、 糖分を摂取しても症状が和らぐことはなかなかありません。
結局、何をしても倦怠感や疲労感は付きまといますから、正常な状態を思い出せないまま過ごしてしまうことになるのです。
既に少しお話した通り、低血糖症の症状は無数にあり、人によって表れる症状が違い、かつその低血糖症の原因ですら、いくつかの要因が考えられるからです。
よって、正確に低血糖症かどうかを判断するには、必ず病院に行って調べてもらわなくてはなりません。
陰険な低血糖症
低血糖症(特に無反応性低血糖症)は若い世代に多いということでしたが、もともと糖尿病を患っているという場合でなければ、血糖値測定器など持っている方は非常に少ないと思います。
日ごろから血糖値を測る習慣を持っている人ならば、低血糖であれ高血糖であれ、すぐに気付くことが出来るのですが、おそらくそういう人は既に糖尿病を患っており、血糖値のコントロール能力が不安定だという自覚を持っている人です。
それ以外の方で、かつ若い方が、血糖値を小まめに測っているというのもやはり違和感がありますが、実際は誰もが自分の血糖値の状態を把握しておくことがとても大切です。
その方法として、血糖値測定器はあると便利ですが、このままでは明らかに糖尿病になるという恐怖心を抱きながらもジャンキーで高カロリーな食生活を止められない、もしくは毎日ジュースを飲む(ペットボトル症候群)という人でもない限り、高額ですし、購入はあまりおすすめできません。
糖尿病も、低血糖症も、食生活の乱れがその原因の一つになっていることはほぼ間違いなく、反対に言えば食生活の改善でどちらも十分な回復が望めますが、低血糖症の自己診断や独断での治療は危険です。
なぜなら、 血糖値を下げる工夫ならやりようがありますが、上げる工夫は(低血糖症の場合はそういう病気だから当たり前ですが)自力では非常に難しいからです。
甘いもの食べればいいのではと思われるかもしれませんが、例えば無反応性低血糖症なら前述した通り取り入れた糖はエネルギーとして無効となってしまいますし、反応性低血糖症ならば、またインシュリンが大量に出て、低血糖に陥ってしまうだけです。
血糖値をゆるやかに上げることに細心の注意を払い、疲労したすい臓に負担をかけないようにするという工夫は出来ますが、低血糖症は原因も複雑に絡み合っていることもあるのでそれが自力で特定出来ない以上、医師に頼るのが最善の方法なのです。
考えようによっては、 自力で血糖値をコントロール出来る糖尿病より、血糖値を下げすぎてしまったり、上げられなかったりする低血糖症の方が恐ろしい病気かもしれません。
その上、普段血糖値のことなど気にしていない若い世代にも多く見られるというのですから、低血糖症は非常に陰険な病気だと思います。
今すぐ出来る最善の方法
ここでは、低血糖症の中でもとくに重症と見られる無反応性低血糖症に注目しました。
低血糖症にかかる原因は様々とは言え、やはり多いと思われるのは、糖分のとり過ぎです。
血糖値が上がればすい臓はインシュリンを出してこれを下げようとするのですが、例えばよく聞くようにペットボトル症候群の人のように毎日大量の、それも吸収されやすい砂糖を摂っていれば、すい臓がいつもフル回転しているので、疲労して問題が起きるのです。
単純に、糖を控えてすい臓を休ませましょうと言うのは簡単ですが、低血糖症はもう何度か言っているように 原因がいくつか考えられますから、安易なことを言う訳にも行きません。
例えば、自律神経失調症がはじめにあって、交感神経と副交感神経のバランスが崩れている場合、ホルモンの分泌に影響を及ぼし、インシュリンが過剰に出てしまうということもあります。
なぜ自律神経失調症になったかと言えば、夜決まった時間に寝られないことが重なり、昼夜が逆転し日光に当たらないかもしくは極度の寝不足になったからかもしれません。
不眠症になったのは、不安なことがあり、ストレスが溜まっていたからかもしれない。
ストレスも低血糖症の原因になりえると言います。血糖値調節に関わる副腎の疲労を招き、その機能を低下させてしまうのです。ストレスと不眠症の解消にお酒を飲むかもしれません。過度なアルコールも低血糖を招く恐れがあります。
そして低血糖に陥ると、不安に襲われることもありますし、反対にイライラしてしょうがないこともあります。不安もイライラも、繰り返すとストレスになります。
鶏と卵の話のように、始まりを追っていくと泥沼にはまってしまいます。お互いがお互いに影響しあっているかもしれないという状況で、こうだからこうしなさいというのは非常に難しいのです。
よって、すぐに出来ることと言えば、 ご自分やお子さんの体や心にしっかりと注意を払っていただくことです。また、血糖値の動きが私たちにどれほどの影響を与えるのか、よく知っておいて欲しいのです。そして、もし異常だと感じたなら、すぐに病院に行ってください。
確信が欲しいなら、試験的に少しの間だけ血糖値を測定してから診てもらうのも一つの手です。
誤診が多いということなので、数日間の血糖値データがあると診察がスムーズになるでしょう。通販なら、10回ほどの測定が出来るスターターキットが手頃に購入出来ますから無駄にはならないと思います。
始まりが分からず、お互いに絡み合っているということは、どこか一つを改善すれば事態はたちまち好転する可能性があるということです。そのきっかけとして、まず血糖値の安定を考えてみてはいかがでしょうか。